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三菱UFJ信託銀行は1兆円規模のM&Aと資産運用で世界を目指す戦略

中井帰一と柳沢慎吾、それに真田広之の「不揃いの林檎たち」を彷彿とさせるようなメンバーを起用した、三菱UFJ信託銀行のCMをあなたはどう思いましたか。

アラフィフの3人がばったり三菱UFJ信託銀行で顔を合わすというあのCMです。

中井「なんでお前がここにいるんだよ」

柳沢「相続の相談?あっ運用だ」

中井「お前には言わない」

そこに常連顔の真田を見つけ声を掛けようとするも「お先に」と去っていく。

ん?真田広之は不揃いの林檎たちに出てたっけ?時任三郎だよね。

まあいいや。いい感じなのでいても不思議じゃない。

このメンバーは鉄板だなと感心しましたが、三菱UFJ信託銀行にはこのCMに大きな狙いがあります。

今まで敷居の高かった信託銀行を身近にしてもらおうという狙いです。

さらに三菱UFJ信託銀行は世界にも視野を広げているようです。

資産運用に強くなっていずれは世界の15位以内に入り込もうという戦略です。

金融関係では前代未聞の1兆円規模のM&Aをしていくという三菱UFJ信託銀行っていったいどんな企業なのでしょぅか?

信託銀行ってそもそも何?

信託銀行とは、普通の銀行は銀行業務だけですが、信託銀行とは「銀行業務」の他に「信託業務」と「併営業務」を行っている銀行のことです。

信託業務とは、財産を管理・運用してくれる業務のことで、お金はもちろん、有価証券や不動産それに金銭債権など財産価値のあるものの管理・運営をしてくれます。

併営業務とは、相続関連業務として遺言の保管から執行業務までを行ったり、企業の株主名簿の管理とか、証券代行業務それに不動産売買の仲介業務なども行います。

各信託銀行により若干の取り扱い業務に差があるかも知れませんが大体そんなところです。

本来、銀行業務と信託業務は別々なものですが、日本の信託銀行の場合はその両方が認められています。

法人への融資業務を手放す

三菱UFJ信託銀行は収益の大きな柱であった法人向けの融資業務を全て三菱東京UFJ銀行に移管して、今後は法人への融資は行わないと言うのです。

12兆円規模の融資残高を手放して、その代わりに掴むものとはなんなのか。

その三菱UFJ信託銀行の戦略とはなんなのかを調べてみました。

MUFGの戦略

nikkei asia MUFG to buy

全てはMUFG(三菱UFJフィナンシャル・グループ)の戦略で、三菱UFJ信託銀行もその子会社で、信託銀行としては三井住友信託銀行に続き国内二位の規模でした。

まず三菱UFJ信託銀行が融資業務を手放して三菱東京UFJ銀行に移管します。

三菱UFJ信託銀行の法人営業部のメンバーは商業銀行の方に出向してノウハウやスキルを伝搬していくことになります。

融資業務を手放すということは、これまで融資業務を中心として利益を得てきたものが無くなるわけです。

ですから、今までは融資の話を切り口として、法人の顧客に不動産や年金それに証券代行の提案をしてこれたのですが、それも出来なくなります。

それでも融資業務を手放すのには理由があります。

融資業務を手放すことで資本に余裕が生まれます。

本来の信託業務を強化するというのが三菱UFJ信託銀行の目論見です。

資産運用業務に今後は注力

法人融資部門を商業銀行(三菱東京UFJ銀行)に移管したことにより自己資本の余裕を活用して1兆円規模のM&Aを行い海外の資産運用会社の買収をしていくというわけです。

三菱UFJ信託銀行の運用資産残高は現在50兆~60兆円程度でした。

これをM&A(企業買収)によって100兆円以上にまで伸ばしたいと規模拡大を狙っています。

規模拡大が叶って、はじめて現在世界40位前後の運用資産残高ランキングが、15位以内に入ることも可能になってきます。

2019年に買収手続きが完了したばかりの、オーストラリア最大手銀行であるコモンウェルス銀行傘下の子会社「コロニアル・ファースト・ステート」。

ここの主要完全子会社9社のM&Aにより20兆円が加わったので運用資産残高が約70兆円に膨らみ、これによって国内首位に躍り出ました。

ここまできて、やっと国際的なポジションを得られる可能性も出てきたわけです。

つまりもう少しで世界を見据えられるところにまで近づいたという事でしょうか。

それでも100兆円にはまだ届きません。

これは他の企業もそうですが、国内だけではもう頭打ちが見えているからです。

今後、拡大し続けるなら世界を狙うしかない。という結論を三菱UFJ信託銀行も出したわけですね。

でも、海外では資産運用だけに特化している「ブラックロック」のような巨大な資産運用会社があります。

ブラックロックの運用資金は500兆円に達していますから、今回三菱UFJ信託銀行が1兆円のM&Aを行って、運用資産を100兆円にまで持って行けたとしても、まだ大きな開きがあります。

100兆円規模の運用資産を持っている資産運用会社なんて世界を見渡すと沢山あります。

そんな中で、海外の運用会社を買収するということは、そのノウハウも手に入るわけですから今後の海外進出には大きな力添えになります。

この海外への展開が成功するかどうかは、今後の日本経済を占う上で大きな材料となるでしょうから、注目していかないといけません。

国内にもビジネスチャンス

また、だからといって、三菱UFJ信託銀行は海外だけに目を向けているわけではありません。

今まで信託銀行というと、どうも一般の若い世代の人には馴染みが無く、関わりを持つこともありませんでした。

でも、日本人の個人資産は全部で1800兆円あると言われていますが、その6割以上は60歳以上の人で占められています。

団塊世代も70歳を迎え始めて、次に来るのは相続問題となってきます。

つまり信託銀行の大きなビジネスチャンスが待っているのです。

また、今の若い世代は資産運用にも抵抗なく手を出す人が増えています。

ただ稼いだお金を貯金するだけでは、老後の不安は無くならないことをだんだんと知り始めているからです。

それであのCMです。

今まで縁の無かった人にも信託銀行に訪れてもらえるよう、まず信託銀行を知ってもらおうというわけです。

決して富裕層だけを相手にしているわけではありません。

相続問題とか資産活用とかを相談してくださいというわけですね。

三菱UFJ信託銀行が発表した1兆円規模のM&Aは日本の金融機関としては最高額となります。

とは言っても、1企業の金額では無く数社を買収するための合計金額ですが、それでも過去に例がありません。

新しい信託銀行のビジネスモデルになることは間違いありません。

大きな物を手放して、もっと大きな物を掴もうとしています。

国内でのお客様の取り込みも一気に拡大させて行きながら、世界も視野に入れるという戦略を一度に始めようとしています。

資産運用はそんなには甘くないとは思いますが、これはちょっと大きく化けるかもしれないと内心ワクワクしています。

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