大原孝治氏は2019年9月、ドン・キホーテを運営するPPIH(パン・パシフィック・インターナショナルホールディング)の社長を退任しました。
今後は、パン・パシフィック・リテールマネージメント代表取締役社長(PPIHの海外事業会社)となり、アメリカ事業に専念するようです。
ドンキホーテに行ったことがある方なら理解できると思いますが、なんでも揃うというその店内で欲しい物を見つけるのが大変です。
陳列の仕方から、迷路のように入り組んだ店内。
この一見下品で貪欲で「何でもあり」の店内もドンキホーテの戦略です。
2020年の6月期の連結決算は売上高が1兆6500億円と前年比24%増と30期連続の増収増益となった上での社長交代です。
以前から、大原孝治氏はアメリカ事業に早く専念したいと言っていました。
今の世の中、「折を見て、体制が整ったら」などと言っていては波に乗り遅れてしまいます。
日本の大企業がこぞってアメリカ進出に乗り出しているのは、世界を制覇するならアメリカを制覇しないとならないという大きな通過点だからです。
そして、世界制覇を目指す企業でなければ、海外資本の企業にいずれ飲み込まれてしまうという危惧があるからです。
ですから、絶頂期のさなかに社長を交代してアメリカ事業に本腰を入れる訳です。
売上げ2兆円をめざすPPIHの戦略を大原孝治氏の名言から探ってみたいと思います。
ドンキホーテ大原孝治の名言
創業者では無いのにここまでドンキホーテの事を理解しているのかと驚きます。
・驚くまで驚かせる。喜ぶまで喜ばせる。
・自店の常識は地域の非常識であると肝に銘じるべき。
・お客様に満足していただくのが最優先。ギブアンドテイクでは無くテイクアンドギブです。
・人と話すときは、自分が何を言いたいかではなく、相手が何を聞きたいかが優先です。
・店舗視察の1店3時間の内、2時間55分は周囲の視察。繁華街や住宅、競合店からパチンコ店まで見て回ります。そして自店との違和感を店舗責任者と話し合って修正します。
・これ以上アマゾンが侵攻してくるなら、先兵として戦う覚悟がある。
・社内会議の多くを廃止して、チャットツールで気になった課題を書き込んでおくと、幹部たちが次々とアイデアを書き込む。これは時代の流れに適合していて、時間の節約も出来てコミニケションも図れる方法です。
ドンキホーテ大原孝治の経歴
1963年8月23日東京都出身です。
東京都のどこなのか?出身校は?最終学歴は?いっさい不明です。
1993年にドンキホーテの第一号店である府中店のコーナー担当者を任されたことから始まり、木更津店・幕張店・市原店の立ち上げの店長を務めています。
1995年に取締役第二営業本部長に昇格から大原孝治氏の快進撃は始まります。
2005年にリアリット社長。
2009年に日本商業施設社長。
2012年にドン・キホーテシェアードサービス社長。
2013年にドンキホーテ社長とドンキHD副社長。
2014年にドンキHD社長。
2017年にドイト社長。
2019年にユニー会長。 第43回経済界優秀経営者賞を受賞
2019年9月に今までの全ての社長を退任して、アメリカ事業に専念するために、パン・パシフィック・リテールマネージメント代表取締役社長(PPIHの海外事業会社)となりました。
ドンキホーテの戦略
ドンキホーテの行っている戦略は、基本的にオンリーワンを目指しています。
ドンキホーテのポップ
下品で貪欲なイメージも戦略です。
乱雑にならぶ商品群。
何でもあると思わせる品揃え。
インサイトマーケティングというお客様の潜在的な欲望や欲求を読み取り、ビジネスチャンスを作り上げていく方法において、ドンキホーテはためらいがありません。
たとえば、男性用の顔に付ける乳液でも整髪料でもそうですが、要は「男性は基本女性の目を気にしている」という部分を大事にしています。
だからガンガンこの乳液を使えば「テカらない」とか「女性に好まれる臭い」だとか「薄毛対策に効く」とかをアピールしたポップをつけます。
お客様にしてみれば、最近気になりだした小さなコンプレックスに、対策として効果があるものを探すのに、解りやすくて便利という訳です。
ポップにははっきりと書いてありますし、いろんな種類のものが一見乱雑に置いてあるので、下品だとか貪欲だとか感じるかも知れません。
でも、それを買うお客様にしてみると「ドンキにくれば見つかると思った」とか、「ドンキホーテで買えば損しない」という感覚で来ているのです。
探せば欲しい物があって、しかも安いということで、下品で貪欲な感じはしていても許せない範囲を超えてはいないのです。
ドンキホーテは安売りの店ですから、限りなく薄利多売です。
多く売らないと儲けが出ないのです。
外国人による爆買いも終わってしまった昨今では、お客様が店内に来たらそれを逃がさず、一点でも多く購入していただく。
その姿勢で30期連続増収増益が達成できたのです。
ドンキホーテの通販
次は2兆円の目標とは言いましても、薄利多売のドンキホーテはIT企業のようには行きません。
今後はEC(インターネットでの販売)からは完全撤退して実店舗を強化させるという戦略です。
どこの店もECは儲からないけど、実質やらないわけには行かないというのが昨今なのに、ドンキホーテは完全撤退です。
店舗におけるテクノロジーを強化して、来店してくださったお客様には更に便利で使いやすくを向上させるのが狙いです。
あくまでもリアル店舗で勝負する。
これは企業として大きくなればなるほど大変です。
好立地となれば土地の確保だけでも高額です。
それでもリアル店舗で戦う。
なぜならECだって大きなリスクがあって儲からないのです。
リアル店舗はお客様が来店してくださり、商品を選んでレジで精算して、ご自分で持ち帰っていただけます。
ですがECではサイトに来てもらうための広告宣伝費やサイトの構築費が必要です。
それに商品のピッキング作業や配送費用、それに決済手数料などなどが新たに発生するわけです。
これらは「販売管理費」として計上されますが、ECでは売上に対する販売管理費の比率はなんと3割といわれます。
リアル店舗であれば、店舗を作った費用が掛かったとしても、損益分岐点を超えてしまえば、利益は拡大していきます。
でもECでは売上が伸びれば伸びるほど販売管理費も3割掛かるわけです。
商品を売るだけのECでは、極めて儲かりづらい構造になっています。
ましてや薄利多売のドンキホーテではいくら世の中の流れとは言ってもやらない方が賢明なのです。
ドンキホーテはリアル店舗だけで勝負していこうという訳です。
ドンキホーテ閉店
でも、ドンキホーテは変わり身の早さではピカイチですから、今後方針を180°転換ということも無いわけではありません。
以前、神保町に出店した際にはわずか8ヶ月後には閉店したという、スピード撤退の過去があります。
開店後、神保町にはドンキホーテは合わないということで、わずか2週間で閉店の結論を出したそうです。
なぜ失敗だと判断したのかですが、まずほとんどの通行人がネクタイを締めていました。
女性はヒールの高い靴を履いている人が多い。
通行人に緊張感がある。
ドンキホーテは買い物をしていただく店なので、こんな環境だと店に入って買い物をしていただけない。
だから、さっさと閉店にしました。
所有物件なのでダメージはありません。
ドンキホーテは不動産で損をしたことが無いのです。
このスピード感なら、今回の大原孝治氏の社長退任も理解できます。
アメリカの事業に早く本腰を入れないと好機を失うと見たのでしょう。
大原孝治まとめ
あくまでもリアル店舗でお客様を驚くまで驚かせて、喜ぶまで喜ばす。
どこもかしこもECに走る中、ドンキホーテはそれに逆行してリアル店舗で勝負する。
しかも、アマゾンとも戦う気充分。
すでに、タイ・香港・シンガポール・ハワイ・カルフォルニアと海外出店はしていますが、もっとアメリカの出店に本腰を入れる為に社長を退任しました。
ドンキホーテ創業者の安田隆夫が始めた「泥棒市場」という雑貨店から始まりました。
それが今は700店弱の店舗数にもなりました。
自店の常識は地域の非常識であると肝に銘じた上での、リアル店舗での世界制覇を目指しています。
この戦略で吉と出るか凶と出るか?
世の中の流れに逆らう事ってみた結果どうなるのか?
注目していきたいと思います。
ネットビジネスでもどんどんやってみて、すぐに戦略を修正するという、素早さと柔軟性を持って進めていくのがおすすめです。
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