世界中で宇宙ビジネスが盛んになってきましたが、日本でも遅れをとらないように各分野で宇宙ビジネスが続々と出てきました。
その中でもニュースとして取り上げたいのが、スタートアップ企業のGITAI中ノ瀬翔です。
宇宙に人間を送るのではなく、遠隔操作でアバターのようにロボットに作業をさせることによって、コストを10分の1にまで下げられるのです。
GITAIの事業内容と、CEOである中ノ瀬翔氏とはいったいどんな人物なのか、経歴なども含めて出来る限り紹介していきます。
宇宙開発は「宇宙ビジネス革命」の時代
宇宙開発と言えば、国が予算を振ってJAXAや三菱重工業や川崎重工業やIHI、また研究開発機構や大企業が担って行うものでしたが、今は違います。
今では、スタートアップ企業や民間企業、それに今まで宇宙開発に無縁だった大企業も商機と捉えて、AIやロボティクスやデジタル技術などの分野に続々と参入してきて宇宙開発は今や「宇宙ビジネス革命」とも言われ、大盛況になっています。
GITAIの事業内容
2019年の時点で宇宙飛行士を宇宙に送って仕事をさせると、時給に換算すると5万ドル(約500万円)掛かると言われています。
つまり1日24時間拘束するわけですから一日に付き一人1億2000万円係るわけです。
まず、宇宙に送る交通費がもっとも高くつきます。
コストの8割は交通費に掛かります。
もちろん一回送るだけでも高いのですが、一番問題なのは宇宙は人間にとってはとても危険なところだという事です。
まず宇宙放射線などの健康へのリスクを考えると、人間が宇宙に行くとトータルで2年が限界で、しかも1回の滞在期間は3ヶ月程度しか宇宙空間にいることができません。
何度も宇宙を行き来しなければならないわけです。
ですから、交通費がとてもかさみます。
しかも宇宙で人間を作業に使う場合、一日に働ける時間は6.5時間程度なのです。
それらの問題をロボットは解決できるわけです。
一回宇宙に送ってしまえば、健康リスクなどの問題もなく、24時間働くことが出来るわけです。
ただ、今まではまだ人間並みに作業が出来るロボットがいなかったのですが、GITAIはそれを解決しつつあるのです。
JAXAとも共同研究契約を締結して、実際に模擬宇宙ステーションで宇宙においての仕事が出来るかどうかを実験しています。
実際の宇宙の作業スペースは人間が作業するように作られていますので、JAXA側から18項目程度のリストを提示され一つ一つの作業をクリアしていっています。
人間が宇宙でする作業ですから、工具一つとっても工具のケースから必要な工具を選び作業をするのですが、工具のケースの蓋を開ける作業ですとか、ビニールのケースのチャックを開けて部品を取り出すとかも出来なければなりません。
それを遠隔操作でロボットが行うことによって72%の作業が代行できると見込んでいます。
AIだけの全自動の単独ロボットでは、まだ人間の代わりに作業を全て行うところまで技術は追いついてはいませんが、遠隔操作を加えて半自動の作業ならばほぼクリアできています。
現在は5%が自動化されており残りの95%を遠隔操作で行っていますが、将来的には50%は自動化を目指しているそうです。
人間は地球から宇宙で作業するロボットを遠隔操作するだけです。
これでコストは10分の1にまで下げられるというわけです。
また、宇宙に宇宙飛行士を送る場合ですと、専門的な分野の人を色々と連れて行くことになります。
エンジニアの専門とか、プログラムの専門とか、宇宙科学の専門とか、医療の分野の専門とか必要に応じてその分野の専門家が行くのですが、GITAIのロボットならばその必要はありません。
地球で専門分野の人間が指示をすれば良いだけです。
タイムラグ発生問題
宇宙ステーションにいるロボットを地球から遠隔操作で動かす一番の問題は「タイムラグ」です。
国際宇宙ステーションは高度400㎞の低軌道を回っているのですが、それでも1秒ほどのタイムラグが発生してしまいます。
原因は、物理的なもの、ネットワークの問題、ソフトウェアの問題とあるのですが、9割はソフトウェアの問題で、GITAIはこのタイムラグを小さくする技術を持っていると中ノ瀬翔氏は語っています。
独自のP2P通信技術に加え、GITAI OSを開発してデータを最適な状態で送ることが可能になり、動画の滑らかさに影響するフレームレートと解像度を維持しながらタイムラグを0.08秒までに抑えることに成功しました。
ロボットの脚の開発
また、次の課題としてロボットの脚の開発を挙げています。
無重力状態の中での作業では、移動したり姿勢を変えたり捕まって違う高さの空間に移動したりするには、現在テストに使われているタイヤ式の移動ではなく脚の移動が必要となるわけです。
より人間に近い形が求められるわけです。
耐久性も重要
もう一つの課題はなんといっても耐久性。
人間の代わりに行かせて一番コストの掛かる交通費を浮かせるのですから、人間より早く壊れたのではなんにもなりません。
最低でも2年はもたないと意味が無いのです。
ロボットを2台以上送ることで、お互いに修理し合えるようにしたいと中ノ瀬翔氏は語っています。
最終的には人間の宇宙飛行士が一人も同伴しなくてもロボットだけで数々の作業や実験をこなせるようにすることが目標だと中ノ瀬翔氏は語っています。
つまり、将来は船外活動もこなせるロボットにしたいとのことで、船外でも耐久しうる性能のロボットの開発も視野に入れています。
船外ともなると宇宙放射線の影響はロボットにもあり、メモリが書き換わってしまうなどの問題もあるので更なる開発が必要です。
SCHAFTの元CEO中西雄飛の参画
GITAIには、世界で注目されている研究者が集まってきています。
SCHAFTの元CEO中西雄飛は、東京大学で二足歩行ロボットの研究をしていたメンバーです。
Googleの傘下になりましたが、2018年に二足歩行ロボットの開発中止を決定したためSCHAFTは解散となりました。
その中西雄飛がGITAIに参画したことは大きな強みになります。
なんといっても人生をロボットに捧げている人物です。
日本では開発資金の調達ができずにGoogleの傘下に入っていたのですが、世界中から注目されているロボット分野の一人者です。
その中西雄飛氏が自ら希望してGITAIに参画してくれています。
宇宙開発の市場規模の大きさ
現在、宇宙事業の市場規模は38兆円と言われていて、これは半導体事業の市場規模を超すと言われています。
ですから、ベンチャーキャピタルのようなハイリターンを狙って積極的に投資を行うところも目を付けています。
有り余っている資金を投資する先を血眼になって探しているのです。
ですから、今後の開発資金もそう心配もなく調達できるのではないでしょうか?
アジア最大の衛星通信事業会社である、スカパーJSATとも業務提携を結ぶ検討に入り覚書を締結したようです。
シリーズAラウンドにして4.5億円の資金調達を達成したことでも、注目の度合いが伺われます。
シリーズAの段階といいますと、成長ステージで3000万円の資金調達が限界だろうと言われていますから、これで4.5億円とは大したものです。
シリーズAの前のシードの時点でも参加していて、累積調達額は6億円を超しています。
シリーズAはクローズしていないので、さらなる調達もありますから10億円規模の調達になるのではないかとの見通しです。
中ノ瀬翔の経歴とまとめ
宇宙ステーションで人間の代わりに地球から遠隔操作で作業できるロボットを使う事で、コスト削減できるという画期的な提案をしているロボット開発会社のCEOです。
スタートアップ企業GITAIの中ノ瀬翔氏の経歴についてですが、大学卒業後IBMに3年間在籍していて、2013年にはインドに移住して会社を立ち上げて既に売却しています。
GITAIは2016年に創業した会社で、本社はサンフランシスコにあるようですが、日本支社は東京都目黒区にあります。
今後、一気に表舞台に飛び出てくるかも知れませんから非常に注目しておきたい企業といえます。
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