お金と生活

最低賃金の推移とランキング!2019年から2020年はどうなる?

最低賃金は年々アップで推移していますが、正社員の方には解りずらいというかあまり気にしていないですよね。でも、給料ベースも最低賃金が関わってくるので、正社員でも関係無い話ではないんです。

一度、給与明細をしっかり確認して、自分は最低賃金以上かどうかの確認をしてください。手当がたくさん付いていて、手取りが多いから問題無いなんて思っていたら大間違いです。

基本給が、ボーナスや退職金の基本となりますから手取りの金額にごまかされないようにしてください。大切な最低賃金の推移とランキングを紹介します。

給与明細から、最低賃金以上なのか以下なのかを確認する方法

自分の給与明細から最低賃金より上なのかどうなのかを確認するには、最低賃金の対象となり賃金額と適用される最低賃金額を以下の方法で比較します。

(1) 時間給制の場合

時間給≧最低賃金額(時間額)

つまり、時給の金額と最低賃金を比較すればいいだけです。

(2) 日給制の場合

日給÷1日の所定労働時間≧最低賃金額(時間額)

ただし、日額が定められている特定(産業別)最低賃金が適用される場合には、

日給≧最低賃金額(日額)

例:日給5,500円 1日の所定労働時間が6時間の場合ですと、
5,500円÷6時間=917円 となり東京でお勤めでしたら、最低賃金985円より低くなりますので、これは違反となります。

(3) 月給制の場合

月給÷1箇月平均所定労働時間≧最低賃金額(時間額)

例:月給200,000円で、その内の通勤手当10,000円 残業手当20,000円を引いた170,000円で、1ヶ月の平均所定労働時間数170時間の場合は
170,000円÷170時間=1,000円となり、東京でお勤めでしたら、最低賃金は985円ですから、それより高いので違反ではありません。

(4) 出来高払制その他の請負制によって定められた賃金の場合

出来高払制その他の請負制によって計算された賃金の総額を、当該賃金計算期間に出来高払制その他の請負制によって労働した総労働時間数で除して時間当たりの金額に換算し、最低賃金額(時間額)と比較します。

(5) 上記(1)、(2)、(3)、(4)の組み合わせの場合

例えば、基本給が日給制で、各手当(職務手当など)が月給制などの場合は、それぞれ上記(2)、(3)の式により時間額に換算し、それを合計したものと最低賃金額(時間額)を比較します。
通勤手当他、各手当は毎月支払われて労働者の生活費の一部となっているのになぜ計算から除外するのかですが、業者間協定によって当該最低賃金において算入しないことを定める賃金」に該当するからです。
「通勤手当、精皆勤手当など」は通常の賃金として最低賃金の対象とするのが適当ではあるのだが、以下の条件を満たす場合は除外してよいとなっているからです。①業者間協定等において「精皆勤手当、通勤手当など」を除外して賃金の最低額を定めている。②「精皆勤手当、通勤手当など」を除外することが当該業種の実情に即するものである。
お分かりになりましたでしょうか?

給与明細の中の、通勤手当、精皆勤手当、家族手当、住宅手当など手当が多いと支給額が多くなり、沢山もらっているように錯覚してしまいますが、最低賃金額を計算してて、自分が最低賃金額を下回っている場合は会社に申し出るか、労働基準監督署などに相談することをお勧めします。最低賃金は企業が労働者に支払わなければならない金額ですので、違反している場合は罰金が課せられます。

全国加重平均額(時給額)の推移

全国の加重平均額の2009年からの推移を見てみますと、

全国加重平均額(円)

対前年アップ金額(円)
2018年 874 +26
2017年 848 +25
2016年 823 +25
2015年 798 +18
2014年 780 +16
2013年 764 +15
2012年 749 +12
2011年 737 +7
2010年 730 +17
2009年 713 +10

2009年から見ると徐々に上がっているのがはっきりと分かりますね。
2016年から急に上がっていますが、これは「年率3%程度を目途として、名目GDP 成長率にも配慮しつつ引き上げていくことが重要である。

という安部晋三政権での内閣府からの要請に応えたもので、その後もこの3%を目途として引き上げられていますが、政府は全国加重平均額を1000円に乗せることが目下の目標としています。

全国最低賃金ランキング(2018年)

最低賃金は企業が労働者に支払わなければいけない最低限度の時給で、年1回改定されます。厚労省の中央最低賃金審議会が所得や物価などの指標を基に、都道府県をAからDまで4ランクに分類し、18年度の目安はAランク27円、Bランク26円、Cランク25円、Dランク24円です。

順位

最低賃金(円)

都道府県

前年比(円)

上昇率(%)

ランク

1位

985

東京

+27

+2.74

A

2位

983

神奈川

+27

+2.75

A

3位

936

大阪

+27

+2.88

A

4位

898

埼玉

+27

+3.01

A

4位

898

愛知

+27

+3.01

A

5位

895

千葉

+27

+3.02

A

6位

882

京都

+26

+2.95

B

7位

871

兵庫

+27

+3.10

B

8位

858

静岡

+26

+3.03

B

9位

846

三重

+26

+3.07

B

10位

844

広島

+26

+3.08

B

11位

839

滋賀

+26

+3.10

B

12位

835

北海道

+25

+2.99

C

13位

826

栃木

+26

+3.15

B

14位

825

岐阜

+25

+3.03

C

15位

822

茨城

+26

+3.16

B

16位

821

富山

+26

+3.17

B

16位

821

長野

+26

+3.17

B

17位

814

福岡

+25

+3.07

C

18位

811

奈良

+25

+3.08

C

19位

810

山梨

+26

+3.21

B

20位

809

群馬

+26

+3.21

B

21位

807

岡山

+26

+3.22

B

22位

806

石川

+25

+3.10

C

23位

803

新潟

+25

+3.11

C

23位

803

福井

+25

+3.11

C

23位

803

和歌山

+26

+3.24

B

24位

802

山口

+25

+3.12

C

25位

798

宮城

+26

+3.26

B

26位

792

香川

+26

+3.28

B

27位

772

福島

+24

+3.11

D

28位

766

徳島

+26

+3.39

B

29位

764

島根

+24

+3.14

D

29位

764

愛媛

+25

+3.27

C

30位

763

山形

+24

+3.15

D

31位

762

秋田

+24

+3.15

D

31位

762

鳥取

+24

+3.15

D

31位

762

高知

+25

+3.28

C

31位

762

佐賀

+25

+3.28

C

31位

762

長崎

+25

+3.28

C

31位

762

熊本

+25

+3.28

C

31位

762

大分

+25

+3.28

C

31位

762

宮崎

+25

+3.28

C

31位

762

沖縄

+25

+3.28

C

31位

762

青森

+24

+3.15

D

31位

762

岩手

+24

+3.15

D

32位

761

鹿児島

+24

+3.15

D

Dランクの16県はいずれも目安を1~2円上回る改定額としており、格差拡大によって、働き手が上位ランクの他県に流出するのではないかとの強い懸念を示す形となりました。

1位の東京の985円と、最下位の鹿児島の761円では224円もの差が出ていますから、大都市と地方の格差は明らかに拡大しています。

また、2018年の全国加重平均額は874円ですから、東京が985円と111円も高くなっているのは、人手不足で人件費を上げなければ人が確保できない状況なのもわかります。

地方を中心に、ランクが下位だった県は、働き手が上位ランクの他県に流出するのを防ぐため格差是正が必要だという声が広がっていて、対応が注目されてはいますが、効果的な対策はまだ出ていないようです。

政府と労働側と経営側の思惑

政府は16年に、「最低賃金を年率3%程度をめどに引き上げ、全国加重平均で1000円を目指す」とする方針を決定しました。審議会はこれに基づいて、17年度は引き上げの目安額を平均25円に決めました。18年度は、年率3%程度上げる方針で、18年度も全国平均で前年度比26円増の時給874円となりましたが、労使の隔たりは大きいものでした。

これまでの議論では、労働側の委員は19年までに800円以下の地域を無くすべきだと主張していて、最も水準の低い地域で35円引き上げて、高い地域との格差を縮めるよう要求しました。 一方で、経営側は「近年の大幅な引き上げにより、人件費が経営を圧迫している。企業経営への影響を考慮した議論をしなくてはならない」と反論しています。

このような中、19年度の最低賃金が901円に決定しました。これは全国平均27円引き上げたもので、最低賃金が900円を突破するのは初めてのことです。引き上げ幅も最低賃金とともに過去最高を記録しています。

都道府県別に見ると、東京都と神奈川県は1,000円を超えていて、東京は1,013円で1位、次いで神奈川は1,011円となっています。一方、引き上げられたものの、最下位の鹿児島県は787円となっていて、いまだ800円に届いていません。

「19年までに800円以下の地域を無くすべき」という議論は達成されなかったわけですが、地方企業の経営状態や日本全体の経済を考えると仕方ないと言えるのかもしれません。

中小企業の労働者全体の賃金上昇率である全国平均1.4%を踏まえて検討するようしてもらいたいと主張しています。しかしながら、17年度の最低賃金は全国平均で848円ですが、たとえこの水準でフルタイムで働いても年収は176万円にしかなりません。

連合や日弁連が主張する最低賃金が1000円になっても年収208万円にしかならないのです。

これでは、いずれも貧困から脱出するのは難しく、最近は1500円を目指す運動も広がってはいますが、最低賃金を大幅に上げると、雇用に悪影響が出るのではないかとの懸念もあるのですが、日弁連で貧困問題を担当する弁護士は「引き上げられた結果、労働者を解雇したりということは今のところ生じてはいない」とのことです。

日本は今、空前の人手不足となっています。

多くの企業は人材確保のため、賃上げを迫られているのが実情なのですが、業績が追い付いていないので人件費に圧迫されているというのが実情のようです。日本経済を成長させるには、賃上げによって個人所得を上げるしかないのだという意見もあります。

それには、継続して賃上げをすることにより、国民の所得を上げるには、最低賃金が継続的に引き上げられることが重要となります。人口が減る中で人件費が下がれば、個人消費総額が減りますから、それは結局のところ経営者側の首を絞めることにもなるのです。

日本の経営者の多くは、人件費をコストと捉えて、下げることばかり考えてしまいますが、人口が増加しているのならば、その考え方でも通用するかもしれませんが、人口が減っている今は、その考え方だと経済は成長しません。

日本の経済を成長させたいのなら、人口減少になったことを考えると、企業の経営方針も変えなければならないのです。

経営者がこのことを理解しないで、従業員の給料を増やさなくても、政府はこの経営者たちを変えることができます。最低賃金を引き上げて、無理やり賃金を上げさせてしまうのです。

継続的に、かつ、上手に最低賃金を上げてさえすれば、経営者は人の配置や資本金の使途など経営上の工夫が必要になります。人口減少で働き手が減りますから、失業率が上がる心配も無くなります。

計算の上では、人口減少による悪影響がもっとも大きい2040年まで、毎年約5%ずつ最低賃金を上げていけば、経済は1%ずつ成長することになるのです。

人口が減少する日本では、どうやってもなかなか総生産額は伸びませんが、生産性を高め、個人所得を増やしていけば、個々人の生活水準が上がっていって、今後ますます厳しくなる高齢化による負担増も乗り越えられるのではないかということです。

社会保障を維持するには生産性向上しかありません。ただ、生産性を上げても、すべて労働者に還元されるわけではありません。税負担はどうしたって増えるでしょう。

しかし、社会保障の負担は生産性を上げても上げなくても、いずれにせよ重くなることは避けられません。ですから生産性を上げて、個人所得を上げるしか、選択肢はないという理由です。

人件費が上がるとAIや機械に仕事を奪われるという懸念

「最低賃金1000円」になることが本当には労働者にとって得なのかという懸念もあります。人件費のコストが上がれば、企業は機械化して行き、結局仕事を奪われるのではないかと。

東京での最低賃金が958円に引き上げられて、「時給1000円」が目の前に来ましたが、最低賃金の上昇は世界的な傾向であり、人件費が高くなれば、企業は人から機械へと仕事を渡してしまうことが進むのではないかと予想されています。

あるメガバンクでは従業員の30%をデジタル化で削減すると発表しています。人間が携われる仕事はどこまで減ってしまうのでしょうか。

最低賃金の底上げは世界的な傾向

最低賃金上昇は世界的な傾向です。アメリカでは、シアトル、サンフランシスコ、ニューヨーク、ロサンゼルスといった大都市部で、最低賃金をそれまでの10ドル弱から15ドル(1ドル=110として1650円)にまで、段階的に引き上げる法案が可決されています。

ドイツでも、2017年1月より最低時給を8.84ユーロ(約1170円)とする最低賃金法の改定が行われました。

特に、先進国での賃上げは、日本と同じように人口減少による人手不足から来ていて、所得を上げないと、国の経済も上がらないからというのが理由のようですから、人手不足が解消すれば時給上昇も頭打ちになる、といった単純な構造ではないことが分かります。

企業はこの問題に対して、対応策をどのように検討すると思いますか?

特にパート・アルバイトを多数抱える小売業、サービス業、外食産業などにとっては、死活問題となります。最低賃金や平均時給の上昇だけでは収まりません。社会保険料加入対象者の拡大といった、人件費上昇が企業にとっては重く乗りかかるのです。

ですから企業は、経営を維持するために、人事施策を取らざる負えない選択肢になるわけです。人事施策に絞ると、人件費をコントロールする方法は、主に次の3つです。

  1. 人員(勤務時間)
  2. 賃金
  3. 雇用形態

(1) 人員のコントロールです。時間当たりの賃金コストが上がる以上、生産性を高め、少人数で事業運営できる体制をつくらなければなりません。欧米諸国に比べて、日本企業は特に非製造業の労働生産性が低いと言われていますから、思い切った改善を考えなくてはなりません。状況により従業員数を大幅に絞ることも検討しなければならないでしょう。

(2) 賃金のコントロールですが、曜日や時間帯別の時給設定を厳格にしたり、地方への拠点を移すといつた手段はあるとはいえ、相場や最低賃金が急速に上昇していきますから、その手段も限られているでしょう。

(3) 雇用形態のコントロールとは、正社員、契約社員、シニア社員、パート・アルバイト、派遣社員といった雇用形態ごとの人員構成の最適化をさせることとなります。

小売業や外食産業では、パート・アルバイト比率がすでに80%以上というのも珍しくありませんが、そのような業界でも、さらに「契約社員店長」「パート店長」など非正規社員を戦力化させるといった策に加え、増加するシニア社員の活用や、あるいはクラウドソーシングによる業務の外注化なども、検討すべき対策となるでしょう。

人はAIや機械との競争に打ち勝てるのか

すでに、最低賃金15ドル(1650円)への対応が迫られるアメリカの小売業・外食産業でも、さまざまな対策が進められています。外食産業では、注文は店員ではなくタブレットなど機械で行い、レジもセルフで自動化する。あるいは、店舗にスタッフを置かずに、全て自動販売機に切り替える、などといった試みです。

日本でも、スーパーに加え、コンビニへのセルフレジもすでに導入の動きも始まっています。多くのガソリンスタンドがセルフ店舗に切り替わり、高速道路の料金所はETCレーンが中心となりました。電車切符や映画のチケット購入はスマホや無人機で完了するのも当たり前の時代になりました。

それで感じたことは、最低賃金1000円時代は、働く側にとって必ずしも喜ばしいことなのかという不安です。最低賃金が上がることで、「人件費が高くつくから、機械に置き換えられないか」とか「もう人件費が払えないから、店を閉めよう」と経営者側は考えるのではないでしょうか?

それに今後AIが発達すれば、さらにこうした傾向が強まると思われます。AIを導入するには初期費用がかかるので、経営が思わしくなければ、踏み切れない企業もあるでしょうが、今後の人件費と秤にかけて、そのほうが安上がりだと、経営者が考えればAI化に踏み切るでしょう。

過去にも、日本では人件費が高いからと、海外の人件費の安いところに加工の仕事などを奪われて衰退していった産業も多数あります。つまり、時給1000円の恩恵にありつける人は、大幅に減らされる構造になるのではないかということです。

もうここに就職できたから安泰の企業や職業はない、ということかもしれません。もしかすると、2019年の最低賃金をチェックしながら、来年はこれを確保していられるのかの心配もしておいた方がよいのかも知れません。

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